「今すぐ困っていないから」
そう考えて、相続した実家をそのままにしているご家族は少なくありません。
実際にご相談いただいたケースでも、親が亡くなった後の実家について、
「兄弟で共有名義にしたけれど、誰も住まないし、急いで売る必要もない」
という理由で、そのままになっていました。
ところが数年後、状況は大きく変わります。
最初は3人だった共有者
その実家は、親から子ども3人へ相続されました。
長男、次男、長女の3人です。
ところが、その後長男が亡くなり、長男の持分は2人の子どもへ相続されました。
さらに数年後、長女も亡くなり、その持分は子ども2人へ相続。
当初は3人だけだった共有名義も、相続が重なることで子どもや配偶者へ権利が引き継がれ、
共有者はどんどん増えていきました。
実際には10人以上の共有者になっているケースも珍しくありません。
売りたいと思った時には
ある日、
「空き家のままではもったいないので売却しよう」
という話になりました。
しかし、不動産を売却するには共有者全員の同意が必要です。
連絡先が分からない人もいる。
遠方に住んでいる人もいる。
実家にほとんど関心のない人もいる。
中には、
「私は売りたくない」
という人もいました。
結果として、売却の話は思うように進みませんでした。
時間が経つと、相続が重なったり、関係者が増えたりと、話し合い自体が難しくなることがあります。
時間が解決してくれるわけではない
実家の問題は、
「今は困っていないから」
と先送りしがちです。
しかし不動産は、放置していても相続が止まるわけではありません。
むしろ時間が経つほど、
- 関係者が増える
- 話し合いが難しくなる
- 管理する人がいなくなる
といった問題が大きくなっていきます。
近年、「所有者不明土地」が社会問題になっている背景にも、このような事情があります。
相続が繰り返されることで権利関係が複雑になり、誰が管理するのか分からなくなってしまうのです。
大切なのは「完璧な答え」より「話し合うこと」
もちろん、すぐに売却することが正解とは限りません。
残すという選択もあります。
ただ、何も決めないまま放置することと、
家族で話し合った上で残すことは全く違います。
大切なのは、
「この家を将来どうしていくのか」
を家族で共有しておくことです。
「そのうち」が一番長く続きます
相続した実家は、時間が経てば自然に解決するものではありません。
むしろ相続が重なることで、関わる人は増え、解決は難しくなっていきます。
「今は困っていないから」
その言葉が、将来の家族の負担につながることもあります。
実家を家族の財産として残すためにも、一度立ち止まって将来について話し合ってみてはいかがでしょうか。
このコラムを書いてくれたのは
住宅専門ファイナンシャルプランナー/宅地建物取引士
草野 宗徳
ファミリーラボ株式会社 代表取締役
金融商品を取り扱わない住宅専門ファイナンシャルプランナーとして中立公平な立ち位置で相談業務を行なっています。
(有)協同ホームコンサルタントとも連携し、不動産などのお悩み・お困りごとを解決します。




